(update 20/4/1) 元・タイトル『パンジーの秘密』
民俗学者レヴィ=ストロース(1908~2009)の『野生の思考』(1976 訳 大橋保夫 みすず書房)を取り上げます。特に表紙に描かれた、野生のパンジーの話に着目しました。著者は、子孫の繁栄は、個人の気質ではなく家族構成に由来するなど、主体性と社会の構造の関係にした学者でしたが、20世紀のフランスの芸術家や、若者の精神を支えでした実存主義の立役者、ジャン・ポール・サルトル(1905~1980)に批判を加えることとなった著作としても、有名な著作です。
この中で、ヨーロッパ各地で語り継がれてきた、ある民話が紹介されるのですが、それが野生の"パンジー"についてです。
この花の名称はもともと、パンセ[Pensees]=思考、から由来したのだそうです。
パンジーには、合計5枚の花びらがありました。
手前に色鮮やかな花びらが3枚と、後ろに地味な花びらが2枚あります。
この一輪の花が、主人を失ったある家族に喩えられます。
前の3枚は、未亡人とその実の娘2人、後ろの2枚は、前妻の娘2人です。未亡人は着飾り自分の娘も同じように華やかな衣服を与えます。そのかわり前妻の娘二人を、隅に追いやったという、ある家庭の風景に喩えられます。
花を見ると、後ろに地味な色の花びら2枚が、追いやられてる感じがしますね。
未亡人の振舞いを見ていた、神。
この家族を不憫に思い、未亡人(黄色の花びらの真ん中)を逆さまにして、前妻の子ども2人(後ろの花びら2枚)を、まっすぐに立たせた。という民話が、西洋の各地で語られたそうです。
たしかに、手前の花びらが、逆さですね。
昔の人が、野生のパンジーを見てあれこれと思考(Pensees)したのが想像できます。
いまのパンジーは改良されたみたいですけど、身近な花に、そんな面白い背景があったとは、興味深いです。 本論についての話ではありませんでしたね。失礼したしました。どうぞご参考まで。
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(追記)
野生のパンジーは、今のビオラだそうです。
教えていただいた方ありがとうございます。
あと、構造主義は現在、主体性は環境側か個人精神側か、どちらに起因するか、と、明瞭には語ることができない、脱構築主義や多根茎(Rhizome)の考えが中心になるそうです。総称して、"ポスト構造主義"と呼ばれる哲学が、現在に引き継がれているようです。まだまだ勉強しがいがあります。
今後どう展開するのか楽しみです。
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