イノウエさん好奇心blog(2018.3.1〜)

MachinoKid Research 「学習会」公式ブログ ゼロから始める「専門研究」

『人間の建設』(1965 岡潔 小林秀雄)

調布PARCO 7月30日 マチノキッドリサーチの学習会では、新潮文庫『人間の建設』(2010)を取り上げました。 数学者の岡潔(1901~1978)氏と評論家の小林秀雄(1902~1983)氏との昭和40年の対談録です。 学習会では、希望者の作成したレジュメを中心に話題…

『それを真の名で呼ぶならば』(2020 レベッカ・ソルニット)

(Updated.8.1) レベッカ・ソルニットのいう「無邪気な冷笑=Naive cynicism」を、人は誰もが経験していると言えそうだ。なぜなら、この人がこれだけ言うのだから。 「わからない」ことを恐れる自分が、どこかにいるはずなのだ。 今回のマチノキッド学習会で…

『芸術作品の根源』(1960 マルティン・ハイデガー )

音や騒音の殺到を聞き取るのではない…われわれは三発エンジンの飛行機を聞くのであり…我々にとってはあらゆる感覚よりも、物そのもののほうがはるかに近いのである(マルティン・ハイデッガー) "われわれは芸術の本質が何かを問うている" 平凡社『芸術作品…

拝啓、マルティン・ハイデガー

(2020.5.12 updated) ドイツの哲学者マルティン・ハイデガーのとある文献を読み、この著作から引用をはじめる前に、自分に思い当たる幾つかのことを備忘録にまとめることにした。 ものの「機能と機能以上の何か」について ある日、「UCCとKEY COFFEE以外、ネ…

静かな深谷

*今月の学習会はお休みです こんにちは。 埼玉県の深谷市に詳しい方なら知ってるかもしれません。 この土地にまつわる逸話は多くあります。 中には、明治新政府の外交官、井上モンタこと、井上馨(1836-1915)によって構想された上州遷都論という壮大なもの…

『市場の倫理 統治の倫理』(1992 ジェイン・ジェイコブズ )

調布PARCO二階 第15回学習会では 『市場の倫理 統治の倫理』(ジェイン・ジェイコブズ, 1951, ちくま学芸文庫/日本経済新聞社)をとりあげました。 参加者で内容を読み返し、意見交換をしたところ話題に尽きないのでした。 ジェイン・ジェイコブズ 1960年代…

シンポジウム『25年目のスレブレニツァ』②

先月1月13日、聴講させていただいたシンポジウムでは、被害者遺族の代表団『スレブレニツァの母』への賠償金の割合について、知ることになりました。(前回のブログ) シンポジウムのリンクはこちら⬇︎ 昨日1月12日(日)と今日13日(月・祝)の2日間、本研究科…

シンポジウム『25年目のスレブレニツァ』①

2020年1月13日、シンポジウム『25年目のスレブレニツァ』 に参加しました。国連の平和維持活動の最前線が、どのようになっているのかを知ることができました。司会は、難民を助ける会・理事長、長有紀枝(おさ・ゆきえ)教授でした。 以前、産経新聞の「産経…

『日本の名著 30 横井小楠 佐久間象山』(1970 松浦玲)

池袋・立教大学のヒマラヤスギ 第13回マチノキッド学習会は『横井小楠』を取り上げました。 学習会でも取り上げてきたハンナ・アーレントのように、実践を重んじる点で、横井小楠の思想は、「実学」なのでした。 空回りする知識の理想でなく、現実の仕組みを…

『百学連環を読む』(2016 山本貴光)

隣町、公民館のミュージカル (11/9 updated) 第12回マチノキッド学習会も終えることができました。レギュラーとなりつつある4名の方々に参加していただきました。 前回に引き続き近世、江戸の人々の思想について学んできた学習会ですが、これまでに家康の…

『江戸の読書会』(2012 前田勉)

江戸時代にタイムスリップ 第11回マチノキッド学習会、無事終わりました。 前回ブログに引き続き今回も江戸時代が舞台です。なぜこの時代に、「会読」が盛んに行われたのか、という問いは『江戸の読書会』の著者、前田勉先生の探求するものでした。以下、平…

『日本政治思想史研究』(1952 丸山眞男)

学習会2日前の沖縄、海に潜る人気持ち良さそう… マチノキッド学習会 10回目を終了しました。 毎回、充実するにはするのですが… 実は、回を重ねるごとに、その度合いが増しつつあります。 テーマは毎回違いますが、ふとした折に過去の学習会のテーマが思い出…

『全体主義の起源』(1951 ハンナ・アーレント)

永田町 地下鉄 6月7日、第9回マチノキッド学習会、無事終わりました 課題図書は、ハンナ・アーレント『全体主義の起源』 長編の歴史哲学書でした。 参加者それぞれで、部分ごとに読みましたが、バスケットマンの方にも参加して頂いて、分かりやすくなり、感…

『判断力批判』(1790 イマヌエル・カント)

イマヌエル・カント(1728-1804)第三批判書 を取り上げました。 同時代の、文学者、哲学者にはもちろんのこと、後世の哲学だけでなく、芸術を語る時にも、この人の文献が出典として頻出します。 また、彼の文献の難解さが、彼の人気の秘密の一つかもしれま…

『政治の約束』(ハンナ・アレント、2005 編 ジェローム・コーン)

Basel University (3.29updated) こんにちは。 今回は、第7回マチノキッド学習会のテーマ図書、ハンナ・アーレントの論考集『政治の約束』(訳 高橋勇夫、ちくま学芸文庫、2018)を取り上げます。早速、引用します。 トクヴィルは「過去が未来に光明を投じ…

『ピエール・ブルデュー(1930-2002)』

月一の学習会にて、今回取り上げさせていただいたテーマ図書は、『ピエール・ブルデュー(1930-2002)』(著 加藤晴久 藤原書店)です。 ブルデューはフランスの社会学者です。ある哲学者の主張、例えば、寛容を育てる感覚は美意識を元にする、だった場合。…

『人間の条件』 (1958 ハンナ・アーレント)

この著書は、志水速雄氏によって1994年に翻訳されました。英語版の『Human Condition』を基に翻訳されましたが、アレントの主題を的確に表したのは、もしかすると、母国語、ドイツ語版『VITA ACTIVA』だったのかもしれません。ラテン語で意味するところの『…

『国家と宗教』(1942 南原繁)

月一の学習会で、一冊の本を題材に意見交換をしており、今回、図書館司書の方に勧めていただいたのが、この著書でした。 著者は、内村鑑三氏の弟子です。その内村氏の文章も先日マチノキッドリサーチで取り上げさせて頂きました。今回その南原繁氏の著作、『…

バーゼルにやってきました

(11/20 updated) 前回のブログで書いたカール・バルト本人は、かつて、スイスの都市バーゼルで教鞭を振るっていたこともあり、2018年11月3日から10日までのイノウエのパリ・バーゼル滞在期間には、現地での彼の痕跡を見つけることができました。 その日、5…

『カール・バルトーー神の愉快なパルチザン』(2015 宮田光雄 )

渋谷にて 今となっては、この人物の名前を知らなかったひと月前までの自分を恥じてやりたい。過去にタイムスリップして、無知な自分の頭をバリカンで丸めてやりたい。そんな思いがいたします。 カール・バルト(1886-1968) この人物は、第一次大戦後、次の…

ジョン・スチュワート・ミル(1806-1873)

J・Sミル『自由論』(1859)(訳・仲正昌樹)を手に取りました。 「幸福とは効用である」とする功利論者の一人として有名なミルですが、ミーハーなところを言えば、3歳でギリシャ語、8歳でラテン語を学び、のちに習得したと言われ、歴史上最もI.Qが高かった…

『図説 写真小史』(1931 ヴァルター・ベンヤミン , 1998 訳 久保哲司 )

(とある渋谷のカフェ) フランツ・カフカ(1883-1924)の幼少期の写真を下に掲載しました。 当時の写真館で撮影されたその写真は、背景の装飾がすでに形式的なものになっていたと、哲学者ヴォルター・ベンヤミン(1892-1940)は指摘します。 その指摘は、技…

視点

曙橋 『哲学』という言葉が「Philo+sophia」から生まれたことは前回ブログで触れました。この言葉は幕末から明治初頭に生きた哲学者、西周先生(以下敬称略)の翻訳によるものだったと言われます。 西周の引用元は、西洋のウェブスター百科事典=エンサイク…

誰でも持っているもの

今日は誰もが持っている、『哲学』について書きたいと思います。 哲学は知恵を愛することとも言われます。というのも語源はPhilo-sophia。 古代ギリシャで4つに分類された愛(Agape, Eros, Philia, Storge)のうち、友愛を示すフィリア(Philia)と、知恵を意…

森友問題の責任はイノウエにあります

今年度も始まりました。 よろしくお願いします。 ここ10年間。 苦手であったけれど、興味深かった分野。 ひとくくりに言えば、『哲学』を学び続けてきました。 そして私は、今、怒ってます。 学んだにかかわらず、増えるのは、やっかいに思われるもの、だか…

オルテガ・イ・ガセット

Chi non può quel che vuol, quel che può voglia (欲することを叶えられない者は、叶えられることを欲せよ) Leonardo da Vinci 1930『Misión de la universidad』、オルテガ・イ・ガセット、『大学の使命』 スペインの哲学者オルテガ・イ・ガゼット(1883…

議論しない方が勇敢にみえる?

足音 奥平康弘さんの翻訳を少し眺めました。 「基本的人権」ってなんだろう。 一ページ目からわかりやすかったので引用しました。 ペリクレスは言う。 行動の大きな障害となるのは、議論をすることではなくて、むしろ議論によって得られる行動の、準備のため…

『カントの政治哲学講義録』ハンナ・アレント

カトマンズにて ハンナ・アーレント(Hannah Arentdt 1906˜1975) 彼女は、西独ハノーファーに生まれたドイツ系ユダヤ人の政治哲学者です。戦時中はパリや米国へ亡命していました。 人の考えることの大切さや、想像力に近い判断力の重要性に言及した人でした…

パラドクスの空で眠る

『方丈記』(1212)の有名な一節を、改めて反芻してみると、今までと違う感覚に襲われました。そのことを今日は書いてみます。 ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。 淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためし…

サイクス=ピコ協定と総選挙

(2020/1/12 UPDATED) 一週間ほど前、勤務させていただく市内図書館に予約していたとある本が届きました。半年かけて招聘されたその本とは、『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』(池内恵、2016)です。 2014年の夏。中東で勃興したイスラム国(IS)の誕生背…