イノウエさん好奇心blog(2018.3.1〜)

MachinoKid Research 「学習会」公式ブログ ゼロから始める「Humanitas/人文科学」研究

『明暗』(1916, 夏目漱石)

第33回MK学習会 1月26日 参加者4名 『明暗』相関図 『明暗』(夏目漱石 1987 改版 新潮文庫)を取り上げました。 夏目漱石の遺作です。 この作品は、複数の出版社から発刊されており、4社の文庫版を用意することができました。学習会のために購入した新潮社…

『文学とは何か』(1950, 加藤周一)

神代植物公園 第32回MK学習会 12月1日 参加者4名 『文学とは何か』(加藤周一 2014 角川ソフィア文庫)について取り上げました。 選書理由は、これまで課題図書として文学を扱ってこなかったから、というものがありました。なぜ、文学を扱ってこなかったのか…

『近代政治哲学』(2015, 國分功一郎)

高幡不動(あじさい祭り) 第31回MK学習会 8月17日 参加者4名 『近代政治哲学』(筑摩書房、2015)について取り上げました。 このMK学習会では、選書係の方にテーマ図書を選んでいただき、参加者はテーマ図書を各々のペースで読み、当日、レジュメを読み進め…

『正統とは何か』(G.K.チェスタートン 1908, 訳 安西徹雄)

第30回MK学習会 5月19日 参加者4名 『正統とは何か』(春秋社、1973)について取り上げました。このMK学習会は、テーマ図書を各自できる範囲で読み、当日は自由に感想を出し合います。今回、例えばこのような意見が出ました 「非常に面白かった」 「どの章も…

『エクソフォニー』(多和田葉子、2003, 2012)

小島町の自転車 第29回MK学習会 1月17日 参加者4名 今回も普段からのメンバーで課題図書をもとに感想ベースで意見を交わしました。 それぞれの視点も興味深いものでしたが、このブログでは、ひとまず、本書の内容を要約します。 _____ 本書『エクソフォニー…

『保守と立憲』(2018, 中島岳志)

第28回MK学習会 12月6日 参加者4名 今回の課題図書、『保守と立憲』(2018 )は、本書のために書き下ろされた1章と3章、また、既存の媒体に掲載された過去の記事が編纂され、五つの章で構成される。概ね2011年〜2017年ごろの記事が本書に掲載されるが、雑駁…

『日本人の身体』(2014, 安田登)

京伝政演画作『艶本枕言葉』 第27回MK学習会 10月14日 参加者3名 死体。時には生きた体の意にも用いられる。卑語。 これは、1603年に掲載された和-ポルトガル辞書のとある言葉の意味である。その言葉とは何だろうか。___ 正解は、「からだ」である。(日葡…

『暴力批判論』(1994, ヴァルター・ベンヤミン )

ドラえもん公式/instagram 第26回MK学習会:5月31日、調布にて開催 参加者3名 『暴力批判論』(1920, ヴォルター・ベンヤミン, 1994, 訳 野村 修, 岩波文庫) 『暴力批判論』の書かれた1920年、ドイツ共和国は前年にヴァイマル憲法が制定され、ヴァイマル共…

『パサージュ論 III』(2020,ヴァルター・ベンヤミン)

2019.11_Paris 第25回MK学習会:11月26日、調布にて開催 参加者3名 ヴァルター・ベンヤミンの書き留めた『パサージュ論』[DAS PASSAGEN-WERK](1928~1940)は、A~Zまで異なる見出しが設けられており、各項目には、それぞれに関連する種々な引用が詳細な典拠…

『パサージュ論 I, IV』(2020, ヴァルター・ベンヤミン)

2019年パリ 10月5日 参加者3名 2021年2月よりNHK大河ドラマ『青天を衝け』が始まり、明治初期に活躍した渋沢栄一の勇姿を見ることができる。1867年、渋沢はパリ万博へ訪れるのだが、このパリ万博を中心とした渡仏経験によって、渋沢は日本にまだ見られない…

『ゴッホの手紙』(2020, 小林秀雄)

高校時代に見て驚いた『星月夜』 update:10/15 【マチノキッド学習会23:終了】✨ テーマ図書:『ゴッホの手紙』(2020 小林秀雄 新潮社文庫) 参加:3名(透明シートで隔てコロナ対策) 今回のテーマ図書は、小林秀雄著『ゴッホの手紙』である。本書は、新潮…

『人間とは何か』(1971 エリック・ホッファー)

Stanford Univ. カフェ内の詩の掲示板 今回の学習会は 『人間とは何か』(1971 [First Things, Last Things] エリック・ホッファー 2003 訳 中川淳 河出書房新社)を取り上げました。 本作は、自然保護と都市開発の対立や、はたまたエリート層と労働者階級の…

『ことばの危機』(H30改正 学習指導要領について)

とある高架下 【マチノキッド学習会21:終了】✨ テーマ図書:『ことばの危機』(2020 阿部公彦 沼野充義 納富信留 大西克也 安藤宏 集英社) 参加:4名 上記を今回の学習会のテーマ図書としました。 2019年10月19日、東京大学の文学部のシンポジウムをもとに…

『社会学入門』(見田宗介 2016 改訂版)

京都 元・淳風小学校 【マチノキッド学習会20:終了】✨ テーマ図書:『社会学入門』(見田宗介 改訂版2017 岩波書店) 参加:3名 上記を今回の学習会のテーマ図書としました。 この図書は、著者の社会学へ対する姿勢が明確で、自分にとっては著者が感じたと…

『コロナ時代の哲学』(大澤真幸・國分功一郎)

Miyashita park 【マチノキッド学習会19:終了】✨ テーマ図書:『コロナ時代の哲学』(2020 大澤真幸 左右社) 参加者:4名 この会は、読書会ではなく「学習会」と称しています。 それは、過去の文人のものの捉え方や思考術に学ぶ会なので、そういう意味を込…

『人間の建設』(1965 岡潔 小林秀雄)

調布PARCO 7月30日 マチノキッドリサーチの学習会では、新潮文庫『人間の建設』(2010)を取り上げました。 数学者の岡潔(1901~1978)氏と評論家の小林秀雄(1902~1983)氏との昭和40年の対談録です。 学習会では、希望者の作成したレジュメを中心に話題…

『それを真の名で呼ぶならば』(2020 レベッカ・ソルニット)

(Updated.8.1) レベッカ・ソルニットのいう「無邪気な冷笑=Naive cynicism」を、人は誰もが経験していると言えそうだ。なぜなら、この人がこれだけ言うのだから。 「わからない」ことを恐れる自分が、どこかにいるはずなのだ。 今回のマチノキッド学習会で…

『芸術作品の根源』(1960 マルティン・ハイデガー )

音や騒音の殺到を聞き取るのではない…われわれは三発エンジンの飛行機を聞くのであり…我々にとってはあらゆる感覚よりも、物そのもののほうがはるかに近いのである(マルティン・ハイデッガー) "われわれは芸術の本質が何かを問うている" 平凡社『芸術作品…

拝啓、マルティン・ハイデガー

(2020.5.12 updated) ドイツの哲学者マルティン・ハイデガーのとある文献を読み、この著作から引用をはじめる前に、自分に思い当たる幾つかのことを備忘録にまとめることにした。 ものの「機能と機能以上の何か」について ある日、「UCCとKEY COFFEE以外、ネ…

新田義貞と渋沢栄一

*今月の学習会はお休みです こんにちは。 埼玉県の深谷市に詳しい方なら知ってるかもしれません。 この土地にまつわる逸話は多くあります。 中には、明治新政府の外交官、井上モンタこと、井上馨(1836-1915)によって構想された上州遷都論という壮大なもの…

『市場の倫理 統治の倫理』(1992 ジェイン・ジェイコブズ )

調布PARCO二階 第15回学習会では 『市場の倫理 統治の倫理』(ジェイン・ジェイコブズ, 1951, ちくま学芸文庫/日本経済新聞社)をとりあげました。 参加者で内容を読み返し、意見交換をしたところ話題に尽きないのでした。 ジェイン・ジェイコブズ 1960年代…

シンポジウム『25年目のスレブレニツァ』②

先月1月13日、聴講させていただいたシンポジウムでは、被害者遺族の代表団『スレブレニツァの母』への賠償金の割合について、知ることになりました。(前回のブログ) シンポジウムのリンクはこちら⬇︎ 昨日1月12日(日)と今日13日(月・祝)の2日間、本研究科…

シンポジウム『25年目のスレブレニツァ』①

2020年1月13日、シンポジウム『25年目のスレブレニツァ』 に参加しました。国連の平和維持活動の最前線が、どのようになっているのかを知ることができました。司会は、難民を助ける会・理事長、長有紀枝(おさ・ゆきえ)教授でした。 以前、産経新聞の「産経…

『日本の名著 30 横井小楠 佐久間象山』(1970 松浦玲)

池袋・立教大学のヒマラヤスギ 第13回マチノキッド学習会は『横井小楠』を取り上げました。 学習会でも取り上げてきたハンナ・アーレントのように、実践を重んじる点で、横井小楠の思想は、「実学」なのでした。 空回りする知識の理想でなく、現実の仕組みを…

『百学連環を読む』(2016 山本貴光)

隣町、公民館のミュージカル (11/9 updated) 第12回マチノキッド学習会も終えることができました。レギュラーとなりつつある4名の方々に参加していただきました。 前回に引き続き近世、江戸の人々の思想について学んできた学習会ですが、これまでに家康の…

『江戸の読書会』(2012 前田勉)

江戸時代にタイムスリップ 第11回マチノキッド学習会、無事終わりました。 前回ブログに引き続き今回も江戸時代が舞台です。なぜこの時代に、「会読」が盛んに行われたのか、という問いは『江戸の読書会』の著者、前田勉先生の探求するものでした。以下、平…

『日本政治思想史研究』(1952 丸山眞男)

学習会2日前の沖縄、海に潜る人気持ち良さそう… マチノキッド学習会 10回目を終了しました。 毎回、充実するにはするのですが… 実は、回を重ねるごとに、その度合いが増しつつあります。 テーマは毎回違いますが、ふとした折に過去の学習会のテーマが思い出…

『全体主義の起源』(1951 ハンナ・アーレント)

永田町 地下鉄 6月7日、第9回マチノキッド学習会、無事終わりました 課題図書は、ハンナ・アーレント『全体主義の起源』 長編の歴史哲学書でした。 参加者それぞれで、部分ごとに読みましたが、バスケットマンの方にも参加して頂いて、分かりやすくなり、感…

『判断力批判』(1790 イマヌエル・カント)

イマヌエル・カント(1728-1804)第三批判書 を取り上げました。 同時代の、文学者、哲学者にはもちろんのこと、後世の哲学だけでなく、芸術を語る時にも、この人の文献が出典として頻出します。 彼の文献は難解と言われます。その難解さが、カントの人気の…

『政治の約束』(ハンナ・アレント、2005 編 ジェローム・コーン)

Basel University (3.29updated) こんにちは。 今回は、第7回マチノキッド学習会のテーマ図書、ハンナ・アーレントの論考集『政治の約束』(訳 高橋勇夫、ちくま学芸文庫、2018)を取り上げます。早速、引用します。 トクヴィルは「過去が未来に光明を投じ…